助産院アクア・バースハウスでは、自分らしい主体的なお産と向き合うために、心と身体の準備をするお手伝いをいたします。

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楽しかったお産の話

<産む場所選び>
お産をする場所を選ぶにあたって、助産院を3軒訪ねました。それぞれお話をうかがって、場の雰囲気を見学させて頂き、どこも魅力的で迷ったのですが、2つの理由で、アクア・バースハウスを選びました。

まず、とてもリラックスした開放的な雰囲気だったこと。スタッフの方たちの、小さなことに神経質にならない、肩の力の抜けた懐の広さみたいなものを感じました。ふたつめに、出産後5日間、夫が一緒に泊まれること。とくに私たち夫婦は、言語の違いから夫が出産に関して得られる情報が限られていたので、生まれてくる赤ちゃんに対して温度差を作らないためには、できる限り出産の現場に一緒にいてもらえることが重要でした。
高齢出産での初産で助産院の門を叩くというのは、敷居が高いかと思ったのですが、見学のときに、経験豊かな山村先生が、開口一番「あなた、ニコニコしてるから大丈夫よ」と言って下さったのは、こころ強かったです。初期検診から出産、その後のアフターケアまで、アクア・バースハウスのスタッフの方々に、一度も不安や不満を抱くことなく、安心してリードしていただけたので、私のお産の場所選びは大正解だったと思います。みなさまのプロフェッショナルなサポートに、こころから感謝いたします。

<妊娠中大変だったこと>
妊娠中は毎日、周囲の人々に助けられて、励まされて、全般的にものすごく幸せに過ごせたと思っていますが、いくつか変化に戸惑ったこともありました。
妊娠初期?中期の課題は「汗をかくこと」「お通じを滞らせないこと」でした。妊娠前から3つのことを日課にしています。「ヨーガ」と「腰湯」と「骨盤体操」です。ヨーガでからだとこころを整え、早朝15分の腰湯で1日分の汗を出し、朝晩5分間の骨盤体操で朝の便通と夜の快眠を確保できるおかげで、ここ何年も本当に健康に過ごしてきました。ところが妊娠した途端、熱いお湯が赤ちゃんに良くないこと、仙骨への衝撃が流産に繋がる可能性があることから、腰湯と骨盤体操ができなくなったのには参りました。それに代わるものとして、試行錯誤のすえ、結局、3度の食事でからだを温めるものを摂取して汗をかく、気温が低くてもじわっと汗ばむまで歩く、繊維質の多い食事を取るという、地道な努力が必要でした。幸いヨーガだけは、腹這いのポーズを避ける以外、特に禁止事項がなかったため、出産の当日まで、心強い精神的、肉体的な支えとなってくれました。
赤ちゃんのいるからだに慣れてきた妊娠後期の課題は、「パン食を減らして3食お米を食べること」、「純粋に散歩をすること」、「目の酷使をやめること」の3つ。つまるところ、どれも欲との戦いで、上手く克服できたとはいいがたいですが、出産後に赤ちゃんとの健康な生活を始めるにあったって、どれも慣れておくべき大切なことだったと思います。
なかでも「純粋に散歩をすること」というのは、今後しばらく続く「赤ちゃんと一緒の時間の過ごし方」を象徴していると感じました。目的地に到達するために歩くのではなく、目的を決めずに、歩くことそのものを楽しむこと。仕事で培ってきた効率や達成とは対極にある、肩の力を抜いて「今」を楽しむ能力を身につけること。おっぱいとオムツが終わったら、即、赤ちゃんを置いて仕事に戻るのではなく、ただただ抱っこしてもらいたい赤ちゃんを慈しむこと。妊娠中の課題は、育児をする母親の課題とまったく同じだと気づきました。

<出産前日=2月3日(予定日)>
午前中、バースクラスで配られた「自然なお産の教室」を遠足のしおりのように読み返し、妊娠中にほとんど食べられなかったおやつ(クッキーやチョコレートなど)や、陣痛が長引いたときのアロマや音楽など、今まで少しずつ集めてきた出産グッズを、遠足に行くようなわくわくした気分で、スーツケースに詰めました。午後、26週で逆子騒動があって以来お世話になっている鍼灸院さんで、最終調整の「よもぎ蒸し」をして頂いて、トロトロに溶けそうなくらい「からだモード」にしてもらいました。また毎回、冷えと目の疲労について、厳しく指導していただき、最後の1ヶ月は、予定日までになんとかお尻と子宮がやわらかくなるように、ほぼ毎晩、自宅でも夫に「お尻のお灸」をしてもらいました。鍼灸院の先生から予定日を過ぎても気を抜かず、最後まで冷えを取り込まないように、今か今かと力を入れて待ち構えているとかえって陣痛が遠のいてしまうので、いつも通りに、家中ピカピカにして、冷蔵庫の残り物を全部使い切って出かけるくらいのつもりで、マメにからだを動かすようアドバイスをいただきました。

<出産当日=2月4日立春>
朝の9時頃、おしるしがあり、いよいよかなぁとワクワクしました。アクアさんに報告を入れて、掃除と食事の準備と、産後のごはんの準備をしているうちに、11時過ぎから定期的な軽い収縮が起こり、これが「陣痛さん」なんだなぁと思いました。13時頃から5?6分間隔になったので、再度アクアさんに連絡すると、姫野さんに「余裕ありそうだから、まだだと思うけど、一応診察に来る?一旦帰ってもらうことになると思うけど、荷物は持ってきていいから」と言われ、遅い昼食を終えて、さっとお風呂にはいってから、4時頃タクシーで小さなスーツケースと大きな鞄をもってアクアさんに到着。内診の結果「子宮口はまだ1.5?2cm。子宮はやわらかいから、お灸効果だね」とのこと。逆子体操で赤ちゃんの頭を一旦戻すと子宮口が開きやすくなるというので、クッションを使って仰向けでしばらく腰を高くしていると、いきなり陣痛さんが激しくなり、仰向けが困難に。引き続きネコのポーズの逆子体操を続けると、ますます陣痛さんが激しくなり、「この子、すごいやる気だね?」と姫野さん。伊東さん、古川さんもかわるがわる顔を出して声をかけてくださり、山村先生が「たぶん早くても今夜か、明日の朝だから、ご主人に迎えに来てもらってしっかり夕食とってきて」とおっしゃるので、夫に電話して、ミーティングが終わり次第、迎えに来てもらうよう伝えました。その直後におトイレで破水し、子宮口が3cmになり、内心「痛くてもう移動できないかも」と思いました。姫野さんに代わって、宮本さんと林さんが引き継いでくださることになりました。ベットの上でクッションにしがみついているだけでは、耐えられなくなってきて、天上から産み綱をつけてもらい、陣痛さんが来るたびに踵で肛門を押さえ、綱にしがみついて息を吐きながら痛みを逃しました。この頃には子宮口が一気に8cmまで開いて、夫を早めに呼んだ方がいいということで、「早く来ないと、生まれちゃうよ」と電話すると、びっくりして30分ほどで飛んできました。痛みが増すにつれ、とにかく温かいものが欲しくて、冷たいお水の代わりにオリーブ茶を頂き、仙骨にカイロをつけてもらいました。水中出産の準備をするかどうかたずねられて、とにかく腰回りを温めて頂けるなら、このままで良いと答えました。遠赤外線のヒーターをつけてもらい、赤ちゃんの頭が下がってきて恥骨周辺が痛くなると、片手で産み綱にしがみつき、もう片方の手で恥骨にポットパックを当てながら痛みを緩和しました。痛みで意識が朦朧としてきて「痛い?、痛い?」と唸っていると、夫が耳元で、私の頼んだ通り、ヨーガの院長のやさしい声を真似て「は?い、吸って?、吐いて?」と囁いているので、吹き出しそうになりましたが、笑うと裂けそうだったので、ぐっと堪えました。陣痛さんがあまりに激しく、だんだんと疲れてきて、一旦横にしてもらったのですが、横向きだと重力のサポートが弱いかなぁと考えていると、宮本さんが「もうすぐだから、ここで休むより起き上がって出しちゃった方が早いかも」と言って、赤ちゃんの頭を触らせてくれました。気を取り直してもうひとがんばり、産み綱と夫にしがみついてからだを起こし、次の陣痛さんで、ぐっといきむと赤ちゃんの頭がぐにゅぐにゅっと出てきて「あぁ、もう会陰部が裂ける?」と思った瞬間に、ごぼっと頭が出切って、だいぶ痛みが楽に。尿道側が2?3mm切れたのがわかりました。「すいません、オリーブ茶ください!」というと、林さんに「このタイミングで、お茶を飲む余裕のある人もめずらしいね」とつっこまれました。お茶を一気に飲み干すと、次のひと息で、赤ちゃんの肩から足先までが、ずるずるっと出てきました。午後7時半頃でした。仰向けに寝て、ヘソの緒のついたまま、赤ちゃんを抱っこしているうちに、胎盤もすぐに出てきました。こんなに完成された生き物が、10ヶ月も自分の中にいたということが何とも不思議で、「我が子」というより、天からやってきた未知の生物という感じでした。おっぱいを吸わせながら、この不思議な感覚にぼ?っとしていて、誰かに指摘されるまで、性別の確認もしませんでした。手足の指の長い、健康な男の子でした。夫にヘソの緒を切ってもらい、久々の骨盤体操、渾身の一発で骨盤を閉めてから、1階の和室に上がり、親子3人水入らずで眠れたのは、最高でした。
その後のアクアさんでの5日間は、安心して授乳に専念できた貴重な時間で、退院の朝、何だか去りがたくて、このままここに住んでしまいたいと思ったくらいです。みなさまの夜昼ない心のこもったサポート、ありがとうございました。

<眉間のしわ>
激しくなる陣痛の最中、からだを硬くして眉間にしわを寄せていると、宮本さん(だったと思うのですが、意識がもうろうとしていたので、違っていたらごめんなさい)が、「はい、大丈夫。力を抜いて」と、眉間に人差し指を当てて、しわを溶かしてくれました。そこで「あぁ、そうだった。力を抜くことが一番大事だったんだ」とヨーガの呼吸を思い出しました。
振り返ってみると、今回の妊娠期間中、アクア・バースハウスのみなさまのしてくださった一番大きな役割もやはり、食事や運動、体重など、気まじめに肩に力の入りがちな私に、眉間に人差し指をあててしわを伸ばすように「はい、大丈夫。力を抜いて」とリラックスさせ、安心してお産を楽しむことを常に思い出させてくれたことでした。
かわいそうに生まればかりの赤ちゃんもこの眉間にしわを寄せる癖を、私から引き継いで生まれてきました。みなさまにサポートしていただいたように、私もこの子が困ったときはいつも「大丈夫、力を抜いて」と眉間のしわを伸ばしてあげられる母親でありたいと思います。
ほんとうに素晴らしい体験をさせていただきました。みなさまに心から感謝いたします。楽しかったです!どうもありがとうございました。